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[情報提供:TECH総研]
恐怖!現場の叫びでわかった嫌われるプロマネの正体

素晴らしい成果を生み出す“プロジェクト−X(エックス)”のはずが、チームを率いるプロマネの独りよがりや曖昧指示、あるいは責任放棄の結果、あれよあれよと、“プロジェクト−×(ペケ)”へと急降下。現場の悲痛な叫びを聞け!
(取材・文/周防美佳 総研スタッフ/タニー只野&山田モーキン)

プロマネに不満をもつ現場メンバー、なんと88%
 複雑・高度化した現代の技術。ひとつの案件を、ひとりのエンジニアが仕上げることができるケースなど、ほとんどない。そこで重要になってくるのが、メンバーを率い、プロジェクトをまとめ上げるプロジェクトマネジャーの力量だ。しかし……。

 Tech総研が、主にIT分野のエンジニア100人に行ったアンケート調査によれば、これまでにプロマネの下でスムーズに進めることができたプロジェクトは5割に満たないと答えたエンジニアが、なんと88%にも上っている(DATA1)。しかも、そのうち79%が、別のプロマネであればうまくいったはずと答えているのである(DATA2)。

 回答の中には、プロジェクトの規模が担当したプロマネの手に余り、その結果メンバーの担当する仕事が堤防決壊状態。あまりの激務に変調を来し、うつ病と診断されたという悲惨なケースも。

 とはいえ、ある程度の経験を積めば、いずれは自分自身もプロマネとしての仕事を任される可能性は十分ある。そんな将来を視野に入れながら、メンバーの立場からプロマネの力不足と思われる「失敗の事例」を考えてみたい。

現場の悲痛な叫び!“使えないプロマネ地獄”プロジェクトを見よ!
 赤字計上や大幅な納期遅れ、果てはプロジェクト自体が消滅……。一方ではメンバーへのしわ寄せ・退社など、悲惨な結果に終わったプロジェクトは数多い。そんな失敗を招き寄せたプロマネの行動とは?
 傾向別に4タイプに分類し、その失敗事例を追ってみた。

コミュニケーション不足でモチベーション急降下!・・・“だんまりタイプ”プロマネで迷走
「情報せき止め型」 スケジュールが全然わからな〜い!
無線通信の基地局内、無線部を終端するファームウェア開発プロジェクト。プロマネがメンバーとコミュニケーションをうまく取れず、半数以上のメンバーがスケジュールを理解してない状態に。スケジュール上、試験工程になってもほとんどの設計が完了して いないというありさま……。
プロジェクト遂行上、重要と思われるメールさえ、メンバーに転送してくれなかった。

(制御系SE/28歳)
その後プロジェクトは・・・
最終的には上司の判断で、同じプロジェクト内にもう一人プロマネを立てることに。またメンバーは自己防衛のため、プロマネが何も言ってくれないなら、できるだけこちらからプロマネにアクセスするように心がけた。それでもすべてを聞き出すことはできなかったが……。
「意思疎通困難型」
お互いに言葉が通じない!
新しい受発注システムを構築するプロジェクト。プロマネは自社内の人間ではなく、コンサル会社から来た人が務めたが、社内の事情もあまりわからず、IT主導のシステムとなってしまった。ユーザー不在の状態で迷走した揚げ句、最終リリースが半年も先延ばしになってしまった。
コンサルだけあって、難しいIT用語を用いることが多く、メンバーもきちんと理解できていないことが多かった。顧客にとってもIT専門用語は難しかったようだ。
(社内SE/30歳)
「無責任!PM逃亡型」
頭数をそろえりゃいいってもんじゃないでしょ!
むちゃなスケジュールと予算で仕事を受けてしまったうえに、スキル無視で人を入れたがために手戻りが多数発生!さらに作業量が増えるという悪循環に。残業休出は当たり前の、まさに「24時間365日営業状態」となり、他チームの応援をあおぐやら、顧客とのスケジュール調整に奔走するやら……。
メンバーはただ頭数をそろえただけなので、モチベーションも低くなり、それに対するフォローもなし。そのため次々と人が去っていっただけでなく、しまいにはプロマネ自身もほとんど会社に来ない状態に。
(Webシステム開発/32歳)
影のマネージャ的存在になるのもアリ!
単に人数分の力ではなく、互いの協力で人数分以上の力が発揮できてこそ「チーム」といえる。しかし、それをまとめるリーダーが機能しなくては、メンバー個々がバラバラに仕事に追われ、逆に人数以下の力になってしまうことも。「失敗に一目散」なプロジェクトならあきらめるしかないが、メンバー相互の関係が密なら、「影のマネジャー的存在」に徹して、メンバーにある程度任せながら、まとめるのもひとつの手かも?
「独断専行」に「仕事抱え込み」・・・“ブッちぎり独走タイプ”プロマネで、周囲はヘロヘロ
「独り決め型」 ひと言の相談もなく仕様やスケジュールを決めないで!
Web開発のプロジェクト。プロマネがメンバーである開発者に相談もなく、次々に客の仕様変更をOKしたり、対応期間を独り決め。それが適切であれば文句はないが、明らかにチームの処理能力を無視。結局、全体の工数が大きく膨らんで手に負えなくなり、約1億円くらいの大赤字を出してプロジェクトは失敗に終わった。

(Web開発/26歳)

その後プロジェクトは・・・
プロマネがメンバーに相談なくすべて決めてしまうため、メンバーの意識が統一できないまま、作業だけが増えていった。プロマネをもっと経験のある人に変えられないのなら、内部調整会議を増やして意識統一を図ればよかったと、今にして思う……。
「くちばし突っ込みまくり型」
細かいところは任せてよ!
お客様の要望は十分に考慮された内容。にもかかわらず、かなり細かい部分までプロマネが口を出し、自分が納得いくまで作業を進めさせなかった。おかげでプロジェクトの進捗は大幅に遅れるありさま。任せてもらえない担当者はモチベーションを失ってげんなり。結局、上司の判断でプロマネが替わるまでその調子だった。
気負っていたのかもしれないが、とにかく自分で判断しないと気がすまないプロマネだった。本来、担当者同士でやるような細かい作業にまでプロマネが口を出しすぎ
(汎用系開発/36歳)
「溜め込み巣ごもり型」
頭数をそろえりゃいいってもんじゃないでしょ!
新開発機種用の試験装置に搭載するソフトウェアの開発プロジェクトだったが、外注に対して仕様変更などを周知徹底できなかったため、手戻りが多くなってしまった。メンバーの作業時間が割かれたため、品質も低下した。結局、コストの大幅超過・延納という悲惨な結果になり、手遅れながらも他部署の支援を要請した。
また、プロマネがひとりで仕事を抱え込みエスカレーションをあげるのが遅かったため、ほかの部署からの支援も役に立たない状態になった。

(汎用系開発/26歳)
「テキトーお任せ型」
メンバーの力量も考えてよ!
通信事業系の料金徴収システムを手掛けたが、チーム編成時に個人の能力が把握できておらず、偏った仕事の割り振りになってしまった。なんとかサービス開始までに間に合わせることはできたのだが、そのために仕事ができる一部のメンバーに作業が集中してしまった。
体制づくりの時点で想定される必要なスキルをもったメンバーを集めるべきだったのにそれを怠ったうえ、仕事の割り振りも適当。個人のスキル任せだった。

(Web系開発/29歳)
一人で仕事を抱え込んでしまうプロマネにならない!
メンバーのことを考えずに、ひとりで突っ走ってしまうプロマネ。これには「自信過剰で他人は信用できない」か、あるいは逆に、「自信がなくて他人に指示できない」の両極端が考えられる。後者なら、メンバーにうまくサポートしてもらえば状況好転もあるが、前者の場合、自信過剰が強ければ強いほど、プロジェクトが泥沼化する。最初は頼りなくても、メンバーを信用して任せる癖をつけよう。
作業指示が明確にできない “あっちこっちフラフラタイプ”プロマネのせいで作業効率は最悪!
「詰めが甘い指示ベタ型」 先にやることやってくれ!
ある工作機械メーカー向けの制御機器の開発プロジェクト。メンバーも割り当てないまま顧客の言うとおりの納期をマネジャーが約束。当然ほかの仕事が忙しく、手も付けられないまま納期遅延の連続。半年遅れで試作品を納品したが客先の品質評価で問題が出て現在対応中というオマケ付き。
プロジェクトの体制も整えず、開発の細部も煮詰めないうちに納期だけ決めてしまったプロマネのいい加減さが諸悪の根元。

(制御系SE/33歳)
その後プロジェクトは・・・
連日の残業と休日出勤でなんとか乗り切った。メンバーとの見積もり相談、顧客とのスケジュール調整は、少なくともやってほしかった……。
「指示放棄型」
まじめな人間が損をするのか!?
環境分析用データベース作製プロジェクトに携わっているが、プロマネからメンバーへのはっきりした指示は一切なし。おかげで私以外のメンバーのほとんどが作業をやらなくなり、いまだにそのしわ寄せを取り戻すためにひとり奮闘中……。
指示の徹底や連絡など、本来プロマネが行うべき仕事をほったらかしたまま!結局、私がプロジェクトメンバーへ参加を促すために個別に折衝してまわるなど、一部身代わりする仕事をするはめに。

(研究/28歳)
「技術知識欠乏型」
もうちょっと仕事の中身をわかってくれ!
メンバーへの指示が曖昧だったり、丸投げだったり、とことんいい加減なプロマネ。おかげでメンバーは急速にやる気が減退、プロマネは人望を失うというありさまで、プロジェクトは停滞。結局その後、残業に次ぐ残業、また残業という地獄になったうえ、当然ながら納期遅延。
プロマネの技術的知識が乏しかったことがそもそもの原因。そのために、メンバーへの指示も曖昧なうえ、結局「一任する」などという丸投げ状態にならざるを得なかった。

(Web系開発/29歳)
的確な指示ができないプロマネは混乱を来すだけ
本来、リーダーシップをもってメンバーを引っ張るべきプロマネが、的確な指示ができないのでは悲劇の原因になりかねない。これはType1のコミュニケーション不足ともかかわるかもしれないし、Type2の「自信なし」タイプとも重なるかもしれない。いずれにせよ、混乱に拍車をかける前に、上司に相談しながら助けてもらうことも考えるべき
お客様は神様ですか?顧客の要望そのままの “伝言マシンタイプ”プロマネで作業量爆発!
「被・拉致監禁型」 顧客の変更要求をリレーするなんて!
度重なるお客様からの要件変更。現場サイドではその日のうちに実施すべき作業があるにもかかわらず、プロマネからは急かつ曖昧な作業指示が頻発。しかも!それもまた“本日中”などの期限付き。キャッチアップするために、メンバーは毎日明け方まで作業。最終的に期日には間に合ったのですが、実はシステムとして完成されていないところが残ったまま……。
期間は変更できないのに、プロジェクトマネジャーは客先でつかまったきりで、ひっきりなしに変更のメールをよこすだけ。
(ネットワーク設計/33歳)
その後プロジェクトは・・・
現場にいないので、その指示も曖昧のまま。
会社に現状を訴え、赤字覚悟で人手を大量に出してもらうことに。契約前の提案段階で、システムの詳細な仕様までお客様と合意をすべきだったと思う。
「ユーザーニーズ過敏症型」
全部受ければいいてもんじゃないでしょ!
某メーカーの社内在庫管理システム開発。顧客の要望を全部受けてくるので、仕様がとんでもなく複雑化し現場が混乱。結局テスト工程でのバグ発生率が異常に多くなり、工期が大幅に遅れた割には使い勝手が悪く、顧客の評判もよくなかった。
顧客の業務自体が複雑化しており、取引相手ごとに異なるデータ形式にすべて対応していたらきりがなくなる。それをプロマネが顧客にもきちんと説明すべきだった

(Web系開発/30歳)
顧客のメッセンジャーだけやっていても信頼されない
単にメッセンジャーと化しているプロマネ。本来は、客の要望を元に、プロジェクトで追い求める「答え」を絞り込んでいく役を担わなくてはいけないのが、まったくその部分を放棄しているわけである。とはいえ、顧客側からは「ハイハイ」と聞いてくれる人だけに(最終的にプロジェクトが失敗に終わるまで)信頼を得続けていたりするのが、ますます怖い。「この場合は、こうしたほうがいい」というオルタナティブ(代案)を出せる技術力、企画力を磨こう。
“プロマネ力”が不足している今こそが、飛躍のチャンスだ!
 プロマネの能力不足に起因するプロジェクト難航や頓挫も多発する今。エンジニアたちは何を心がければよいのか。自らもプロジェクトマネジメント、プロジェクトアーキテクトを務めた豊富な経験をもち、現在はIT戦略とプロジェクトマネジメントを中核としたITビジネスのコンサルティングを行う、株式会社アイ・ティ・イノベーション社長、林衛氏にお話を伺った。
プロマネとして「生まれ変わる」ことができるかが鍵

 アンケートの中でも、プロマネのコミュニケーション能力の不足や判断のミスに起因すると指摘されている、さまざまな「プロジェクト失敗の事例」が挙げられています。しかし実は、これらは単に「コミュニケーション能力」や「判断力」、「指導力」の欠如が原因ではないのです。

 特にITの分野は、ますます複雑化・多様化が進んでいます。そこでは、今までのように「既に解法があるものを着実にこなす」のではなく、自ら解決策を見つけることが求められています。プロジェクトを推進するとは、まず、「問題がどこにあるのか」を見抜くことから始めなければいけません。しかし、そこが欠けているために、例えばユーザーの定まらない注文に振り回されたり、一方で曖昧な指示しか出せなかったりするのです。

 日本の場合、普通にSEがある程度の経験を積んだらプロマネを任されることが多いのですが、メンバーとプロマネでは、要求されている能力はまったく違うのです。プロジェクトとは、「実現されていないものを約束する」行為。当然、その実現にはリスクが伴う。プロマネもまた、そのリスクテイクをする覚悟、あえてそれに向かう自信をもっていなければいけません。そこに気づけるかどうかが、プロマネとして「生まれ変わる」ことができるかどうかの分かれ道になります。しかしまた、優れたプロマネが著しく貴重な今だからこそ、そこに気づける人は、大きなチャンスをもっているのだとも言えるのです。

(株)アイ・ティ・イノベーション 代表取締役 林 衛氏
1955年生まれ、名古屋大学工学部応用物理学科卒業。1998年7月、日本においてIT革新を専門に行うコンサルティング会社の必要性を強く感じ、株式会社アイ・ティ・イノベーションを設立。オブジェクト指向推進協議会(CBOP)の発起委員、理事としてプロセスマネジメント手法(CMMI/SPI)を担当している。
 現場のエンジニアのなかで、「プロマネに必要な資質」として、何が最も求められているのだろうか。メンバーとプロマネ自身に尋ねた質問の答えを、以下に挙げた。高く買われている能力は両者とも共通しているが、“指示を与える方”=プロマネは「コミュニケーション能力」を、“指示を受ける方”=メンバーは「指示判断能力」を重視する率が若干高いという特徴が見て取れる。これはむしろ、プロマネ自身は「自分の判断だけでは心もとない」、メンバー側は「やることをプロマネに決めてもらったほうが楽」という弱気の表れかもしれない。
プロマネに一番必要だと思うスキルとはなんだと思いますか?
[情報提供:]
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